2009年11月29日

会社を維持するコストもバカにならない

会社は、新たに設立するためにもお金がかかりますが、その設立時のコスト以上に、会社を維持していくために多くのお金がかかります。その維持費が大きくなる理由は大きく分けて3つ、税金、外注費、口座の維持費です。

●赤字でも払わなくてはいけない税金がある

法人税は会社の利益にかかる税金だから、もし赤字になっても、会社は税金なんて払わずに済むだろう…なんて考えてはいませんか?残念ながら、会社にかかる税金は法人税だけでは無いんです。実際には、赤字でも払わなくてはいけない税金が3つもあります。

ひとつめは、「住民税の均等割」です。
均等割とは、地域社会の費用の一部を、広く均等に市民の方に負担してもらおう、という趣旨で設けられている税金で、地方自治体に納付する税金です。普通の会社の場合なら、赤字でも年間で7万円の税金を納める必要があります。

ふたつめは、「消費税」です。
資本金を1000万円以上で設立したり、細かい説明は省きますが、前々年事業度の課税売上高が1000万円を超えていたりすると、会社には消費税を納める義務が発生します。会社が赤字、つまり得た収入よりも払った費用の方が多いという状態であっても、残念ながら経費の大部分を占める人件費は、消費税の対象にはなりません。そのため、たとえ赤字であったとしても、思いのほか高額の消費税を納めなければならなくなった、なんてことも多いのです。

みっつめは、「源泉所得税」です。
社長であるあなた自身や、従業員に給料(役員報酬)を支払う場合には、会社は、その支払う金額(=従業員の所得)に応じて定められている「所得税額」を、その給料から差し引いて支給します。その差し引いた税額を「源泉所得税」といい、これらはあくまで従業員からの「預り金」なので、赤字だろうと何だろうと、会社は定められた期日までに国に納付しなくてはなりません。給料を支給したら発生する税金、それが「源泉所得税」なのです。

●会社の維持には外注費が欠かせない

外注費と聞くと、ホームページ作成やシステム開発なんかを思い浮かべて、「うちはそういうのやらないから必要ないよ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、外注費とは、それらに限ったものではありません。法律で定められた「やらなくてはならないこと」をするためだけでも、実は外注費がかかることがあるのです。

会社を設立すると法律上の義務が増えてきます。それは例えば、源泉所得税の納付であったり、法人税、住民税及び事業税の確定申告であったり、帳簿への記帳であったり、社会保険、雇用保険の手続きであったり、とにかく様々な申告や手続きが義務付けられます。それらをあなた自身で全て完璧にできればそれに越したことはないのですが、正確な申告、手続きを行うためには、やはり専門的な知識が必要です。そうなれば、結果的にそれぞれの専門家に相談することになりますよね。そして、専門家に相談すると、それらの業務のたとえ一部だけを依頼したとしても、安いものでも数万円、高いものなら数十万円のコストが発生してしまいます。会社の維持には、外注費が欠かせないのです。

●銀行口座の維持もタダじゃない

会社に絶対必要なもの、それは、銀行の預金口座です。いつもニコニコ現金払いだから…なんていっても、常に大量の現金を持ち歩く訳にはいきませんよね。お金を預ける場所が必要です。
「ん?でもだからって銀行口座に維持費がかかるなんて聞いたことないよ」と思われる方もいらっしゃることでしょう。しかし、実際には、口座を口座として維持するためには、必ずコストがかかっているんです。

そのコストの名は「手数料」です。

将来的にはともかく、現在、日本国内にある店舗型金融機関で通常の預金口座を利用するだけなら、基本的にどこも口座管理料を必要としていませんが(インターネットバンキングを利用する場合は、多くの金融機関で徴収しているようですが)、しかし、その預金口座から相手先に振込みをするとき、振込手数料のかからない銀行も、残念ながらありません(振込手数料が無料になる特典を利用する場合であっても、回数制限があったり、口座の残高が○○円以上あったりして、様々な制限がありますよね)。そのため、普通に会社を維持していくうえで行う取引の全てを無料で行うなんてことは、事実上不可能です。

1回の取引で525円、2回で1050円、ひとつひとつは細かいですが、会社が通常口座で行っている取引量を考えれば、その金額もバカにはできないものになるのです。

●それでも会社にする必要があるの?

節税のために安易に会社を設立したら、その維持費で手も回らないなんてこともよくあります。忙しいのにお金が貯まらないなんて…考えてたくもありません。会社の設立には、設立費用はもちろん、その維持費(しかも上記にあげたものは最低限の内容です!)も頭にいれて検討してみてはいかがでしょうか。

会社を作ると業務負担はこんなに増える

新たに会社を設立すると、法律で定められている「やらなくてはいけない」が増えていきます。
例えば、一年間に行う主な業務のスケジュールは以下の通りです。

■1月
・源泉所得税の納付(特例の場合)
→給料の支払時に「預かっている」源泉所得税を、年に2回(1月と7月)収めます。

(参考)特例とは?
毎月の給料支払い時に従業員から「預かっている」源泉所得税は、原則として支払月の翌月10日までに納付しなくてはなりません。しかし、給料を支給する人数が常時10人未満の会社については、所轄の税務署に届出を行い承認を受けることで、年2回、1月と7月にまとめて納付できるようになります。

・法定調書合計表の提出
→法定調書合計表とは、以下の6種類の法定調書が1枚の様式にまとめられたものです。この書類を所轄の税務署に提出します。
①給与所得の源泉徴収票、②退職所得の源泉徴収票、③報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書、④不動産の使用料当の支払調書、⑤不動産等の譲受けの対価の支払調書、⑥不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書

・給料支払報告書の提出
→給与支払報告書とは、「給与所得の源泉徴収票」を市区町村に提出する場合の名称で、個人の住民税を計算するためのものです。従業員の市区町村ごとに個別に送付します。

・償却資産税申告書の提出
→償却資産申告書とは、事業に使用している一定の資産で、毎年1月1日時点で所有している資産を記載する申告書です。これを、都税事務所へ提出します。

■3月
・所得税の確定申告
→納税者が1年間(1月1日~12月31日)の所得を計算し、所得税を納める手続きをいいます。翌年の2月16日~3月15日の間に住所地を管轄の税務署に申告します。

■5月
・法人税の確定申告
→会社が1年間の法人税額を計算し、法人税を申告する手続きをいいます。決算日の翌日から2ヶ月以内に、管轄の税務署、都税事務所に申告します。

・消費税の確定申告
→会社が1年間の消費額を計算し、消費税を申告する手続きをいいます。法人税の申告期限(決算日の翌日から2ヶ月以内)に、所轄の税務署に申告します。

・法人道府県民税、事業税の確定申告
→会社が所在する道府県から課される税金です。法人税の申告期限(決算日の翌日から2ヶ月以内)までに、所轄の都税事務所に申告します。

・法人市町村民税の確定申告
→会社が所在する市町村が課す税金です。申告期限は法人道府県民税(決算日の翌日から2ヶ月以内)と同じです。

■7月
・源泉所得税の納付(特例の場合)
→給料支払い時に「預かっている」源泉所得税を、年に2回(1月と7月)に収めます。1月度に行ったものと同じです。

・社会保険の算定基礎届の提出
→社会保険料額を確定するため、4~6月の給与を基に計算した「標準報酬月額」を社会保険事務所に届け出る手続きです。

・労働保険の保険料申告
→加入義務のある労働保険の申告を行います。労働者を一人でも雇っていれば、会社は加入手続きを行い、労働保険料を納付しなければなりません。

■12月
年末調整
→正確な源泉徴収税額を算出し、今まで徴収した過不足額を計算する手続きです。その差額は、12月(または1月)に支給する給与から追加に徴収、または還付して調整します。

■その他
・記帳
→会社が青色申告だろうと白色申告だろうと、会社になると、取引内容をはその都度、正確に帳簿に記載しなければなりません。常時発生する業務です。

・社会保険・雇用保険の加入・喪失手続
→新たに従業員を雇用した場合、または退職者が出た場合は、所轄の社会保険事務所へ社会保険の手続きを、ハローワークへ雇用保険の手続きを、それぞれ行う必要があります。

・給料計算
→従業員を雇用すれば、毎月支給する給料を計算します。毎月月末近くに発生する業務です。

・源泉所得税の納付(毎月納付の場合)
→上記で見た「特例」を適用しない場合は、支給月の翌10日までに、従業員から「預かった」源泉所得税を納付します。毎月発生する業務です。

法人税等の予定申告または中間申告
→前年度の確定年税額が定める要件に該当した場合は、法人税等(法人税、住民税、事業税)の中間申告を行う必要があります。

以上です。
見ての通り、新しく会社を設立すると、非常に多くの申告、手続が義務付けられます。義務ですから、忙しいから、手が回らないからといってこれらを行わないと、法により罰せられることもあります。会社の業務って、非常に面倒くさいですよね。それでもあなたは会社を設立したいと思いますか?

会社を設立するまでに考える事(その2)

会社を設立するにあたっては、何を決めないといけないの?

会社を設立するためには、様々な事柄を決定しなければなりません。 決めなければならない事柄とは、会社の名前、事業の目的、資本金の額などです。これらは、設立後に変更しようとるすと余計なコストがかかってしまうことがあるので、設立時にしっかりと決めておきましょう。

<会社の設立時に決めたいこと>

(1)事業の目的

会社の設立をするときに、まず最初に決めなければならないのが事業目的です。その会社が何を行う会社なのかを、きちんと明確にしなければなりません。
会社は、事業の目的を、法律の範囲内であり、かつ営利目的の事業である限り自由に設定することができますが、決めるときには、いくつか注意が必要です。
まず、会社は事業目的に定めた内容以外の事業を行うことが出来ません。将来的に展開する可能性のある事業は、このタイミングでしっかりと記載しておきましょう。
次に、事業目的は、具体性にかけるものは認められません。例えば、インターネットを通して事業を展開するなら、「インターネットを利用した広告、通信販売及び情報提供」といった書き方になります。
また、人材派遣業や銀行業、古物商など許認可や申請が必要な事業を目的とする場合には、書き方を間違えるとその認可を受けることができない場合もありますので、必ず行政官庁に相談、確認をしておきましょう。

(2)会社の名前(商号)

人に名前があるように、会社にも名前があります。それを「商号」といいます。基本的にはどんな名前でも登録することができますが、いくつかのルールがあります。
まずは使用言語です。漢字、カタカナ、ひらがな、ローマ字、アラビア数字、その他一定の符号(「&」「・」「’」「-」等)のみ使用が許されています。また、誤解をまねくような名称(例えば、新聞社でもないのに「●●新聞」という名前にするなど)は使用できません。同じ理由で、株式会社であれば、必ず「株式会社」という表記が必要になります。

(3)本店所在地

会社の本社を置く住所です。本店所在地は自宅でも大丈夫ですし、または新たに事務所を借りて、その事務所の住所を本店所在地にしてもかまいません。候補が複数ある場合は、できるだけ移転の可能性が低い住所地を選ぶと、後々面倒な申請をしなくても済みます。この登録した住所地に該当する税務署等が、あなたの会社を管轄する税務署になります。

(4)資本金

会社の原資となる出資金の額を決定します。金額は1円から認められ、上限は特にありません。しかし、資本金は会社の信用度の目安となるため、あまりに低く設定するのも信用度の面で不安があります。また逆に高く設定しすぎると、税金面での優遇が受けられなくなるなど、適切な金額の設定が必要になります。

なお、多少手間はかかりますが、現物出資(お金の換わりに物品の評価額を資本金とすること)もできます。

(5)発起人

「発起人(ほっきにん)」とは、簡単に言えば、会社の設立を言い出した人のことです。会社設立の企画者として定款に署名した者をいい、通常は、イコール設立時の出資者(つまり、設立を検討されているあなたです)、と考えて問題ありません。1人でも大丈夫ですし、複数人いれば発起人は複数になります。なお、定款には発起人の氏名と住所を記載しなければなりませんが、記載内容はその人の個人の印鑑証明書と一致していなければなりません。そのため、発起人となる人は印鑑証明書を発行し、その通りに定款に記載しましょう。

(6)発行可能株式総数と、株式の譲渡制限

発行可能株式総数とは、会社が発行することのできる株式の総数です。株式公開をしている場合を除き、基本的には発行可能数に制限限はありません。通常、設立時に発行する株式数の10倍程度に設定するのが一般的です。なお、ほとんどの場合は、これと合わせて「株式の譲渡制限(株式を譲渡したい場合には、会社の承認が必要であるという決まりごと)」についても同時に定めることになります。

(7)一株あたりの金額

一株あたりの金額とは、設立時に発行する株式の一株あたりの価格のことです。1円でも100円でも自由に設定できますが、5~10万円程度に設定する場合が一般的です。これは(4)で定めた資本金と連動しており、例えば、資本金が300万円、一株あたりの金額が10万円であるなら、設立時に発行する株式の数は、30株となります。

(8)決算月

会社は、少なくとも年に1度、その1年間の業績を報告しなければならない義務があります。決算月とはその基準となる月のことで、例えば3月決算であれば、その前年の4月から今年3月までの期間に行った事業の内容により決算の申告を行います。個人事業主の場合は12月と決算月が定められておりますが、会社は、どの月を決算月に設定しても良いことになっています。将来申告書を作成することに備えて、あまり忙しくない時期に設定しておくのが良いでしょう。

(9)役員と、その任期

会社の設立時に、誰を役員とするかを決めます。代表取締役としてあなた1人だけを役員とすることもできますし、また、複数人の候補がいれば、複数人を役員とすることもできます。
なお、役員には全員一律で任期を設定する必要があります。最長で10年の任期を設定することができますが、役員を途中で解任することは非常に難しいので、3~5年程度にしておくのが一般的です。

以上です。
決めなくてはならないことはたくさんあります。
しかし、最初にも書きましたが、これらは設立後に変更しようとすると何かと面倒な手続きが必要で、余計な費用もかかってしまうので、専門家と相談するか、事前にしっかりと考えて決めておきましょうね。

会社を設立するまでに考えるべきこと(その1)

会社設立のスケジュールから逆算して設立をしよう

会社の設立をするためには、当たり前ですが様々な手続きが必要です。
1日で終わる手続きもあれば、数日かかる手続きもあり、初めて会社を設立する場合(ほとんどの人が該当されると思いますが)、当初想定している時間以上に、時間がかかることも少なくありません。

もしつきっきりで常時対応できる状態だとしても、約3週間~4週間程度の期間は見ておいた方が良いので、スケジュールの調整には注意が必要です。設立に際しては、スケジュールを「設立日」から逆算して考えていくと無理なく予定を立てることができるでしょう。 以下では、参考までに、会社設立にともなう手続きの概要と、ざっくりとした所要日数を紹介します。

<会社設立までのスケジュール(時系列と逆で表示しています)>

(1)新会社の印鑑カード、登記簿謄本、印鑑証明書の取得します。 7~14日
※法務局へ登記申請した後、1~2週間で登記簿謄本を取得することができます

(2)登記申請書を作成し、法務局に登記申請書を提出します。 1~2日
※以下に紹介する(5)の手続きから、2週間以内に行わないといけません。
※この申請した日が、会社の設立日となります。

(3)資本金の払い込みが全額完了していることを代表取締役が確認し、「調査書報告書」を作成します。 1日

(4)「発起人会」を開催し、新会社の本店住所、設立時の代表取締役、取締役、監査役などを決定し、各人が就任の承諾を行います。
※その内容は、「発起人決定書(複数人いる場合は「発起人会議事録」)」を作成し記録します。 1~2日

(5)代表者への金融機関(個人口座)へ、出資金(後に資本金となるもの)の払い込みを行います。 1日

(6)公証人役場に定款と発起人全員の印鑑証明書を持っていき、公証人に定款の認証をしてもらいます。 1日
※「定款」とは、会社の根本規則を定めたものです。同じ内容のものを3通(役場保存用、会社保存用、登記申請用)提出します。

(7)新会社の「定款」を作成し、発起人全員の実印を押印します。 5~7日

(8)発起人(もし設立時に他に役員となる人がいればその人の分も)の個人の印鑑証明書を各人ごとに発行しておきます。 1日

(9)新会社の「代表印」を作成します。 2~3日程度
※代表印と同時に、銀行印、角印、ゴム印なども発注すると良いと思います。

(10)法務局で類似商号の調査、事業目的の確認を行います。 1日
※同一市町村内で、同一の事業を行っている他人が既に使用している商号は利用できません。

(11)最初に、会社の概要、基本的な事項を決めます。 3~4日
①会社名(商号)
②事業の目的
③本店所在地
④資本金
⑤発起人(=出資者:この場合は、この記事を読まれているあなたが該当します)
⑥役員
⑦営業年度
⑧取引する銀行
⑨設立時期
※許認可が必要な事業(飲食店、人材派遣など)はさらに早めの準備が必要です。

(その他、設立が終わったあとにやるべきこと)
会社の登記が完了したら、以下の官公署に指定の書類を提出します。 2~3日

税務署(国への届出です)
①法人設立届書 ②給与支払事務所等の開設届 ③源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 ④青色申告の承認申請書  ⑤棚卸資産の評価方法の届出書 ⑥減価償却資産の消却方法の届出書

税事務所(市区町村への届出です)
①法人設立届出書

労働基準監督署
①保険関係成立届出 ②労働保険概算保険料申告書

公共職業安定所(ハローワーク)
①適用事業所設置届 ②被保険者資格取得届

社会保険事務所
①新規適用届 ②新規適用事業所現況書 ③被保険者資格取得届 ④健康保険被扶養者届